第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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付けたり、絵や図を描いて示したりしている学生は少なくありません。文字だけでなく、音や画像も使ってコミュニケーションを取っているというのは『参加学生がLive Onを最大限に活用しているのだな』と思いました。また、それが可能な早稲田の交流ツールは、非常に有用ですね」 英語力の高いグループでは、「最後の約10分間」以外でも英語を媒介にして、それぞれが自分たちの言語(日本語、台湾語)を相手に教えるといった交流も見られたという。「事前に用意したトピックに沿ってやり取りすることは、全体のレベル向上のためには必要です。ただ、自分たちで『互いの言語を教え合おう』といったように交流の内容を決められて、それが適切なものなら、十分意味がある交流のやり方ではないでしょうか」。 毎回、CCDL交流を実施した後は、学生はチャットログと共に交流を通して学んだことをメールで山口講師に送信する。また、次回の交流につなげるために、学生にはCourse N@vi上のBBSへの書き込みも義務付けている。 「交流後については、学生たちに毎回の感想を簡単でもいいから書き留めておくようにと指示しています。大目的にも掲げていますが、自分が台湾の学生とどのように交流したかという記録は、就活などでも役に立つからです。ただ現時点では、学生がCCDLの記録を残すことはまだ徹底できておらず、これからの課題ですね」CCDL交流であっても、実際に顔を合わせることには意味がある 「遠隔で交流できるのがCCDLのよいところですが、その一方で、直接顔を合わせることにもやはり大きな意味があると思っています」と山口講師。2013年度は、たまたま秋学期のCCDL交流が始まる前と2014年1月になってからの2回、CCDLに参加した元智大学の学生と早稲田側の学生が直接顔を合わせる機会があった。 「1月には、早稲田大学の授業に元智大学の学生が参加して、その後で懇親会も開催しました。小さな画面や文字のみで交流している相手とリアルに顔を合わせることは、学生たちにとっては大きな刺激になったようです」 山口講師によると、英語力やコミュニケーション能力が高く、意欲のある学生は問題なくCCDL交流を行えるが、そうではない学生の場合はCCDL交流がなかなかうまくいかないこともあるという。その際、「最終的に会う」という目的があれば、CCDLへの積極参加を促す有効な動機づけになるそうだ。 また、学生だけでなく、2013年度はCCDLの担当教員間でも実際に会う機会を設けた。「2013年の3月に台湾で元智大学の先生に会って、まず教員同士で交流を持ちました。一度会ったことでよい関係が作れて、その後はスカイプで必要に応じてトピックの相談などを行いました」。ただし、海外の大学担当者と会うとなると費用が発生する。「もちろん、会えればベストですが、そうでなくてもスカイプなどを駆使すれば、教員同士も対面に近い形でコミュニケーションを取ることは十分可能ではないでしょうか」。教員同士が事前にしっかり打ち合わせをしたことが、2013年度のCCDL交流の成功につながったと山口講師は考えている。2014年度は、CCDLの効果を目に見える形で学生に示したい CCDL交流をさらに意義深いものにしたいと考える山口講師は、2014年度春学期には次のような試みを計画しているという。 「まだ検討段階ですが、学生に自分のコミュニケーション能力の長所と短所を認識させた上でCCDL交流を行い、交流の結果、コミュニケーション力のどこが強化されたか、何に問題があるのかなどを自分で振り返れるようにしたいと考えています」。 具体的には、コミュニケーション力のさまざまな側面、たとえば「知らない人とも臆せず話せる」や「笑顔でやり取りできる」など10項目程度について、5段階で自己評価させるようなシートを作成。CCDL交流の前後で、各項目をチェックさせて自ら検討させるという。 「CCDLで交流して単に『楽しかった』という時期は、そろそろ過ぎたのではないかと思っています。5回程度のCCDLでは、やれることはどうしても限られますが、参加した学生に『今回の交流では、自分のここを伸ばしたい、ここを改善しよう』と目標を持たせることで、CCDLはよりよいプログラムとなるのではないでしょうか」。授業での台湾の学生による発表資料。台湾には、中国語の名前だけでなく英語や日本でも名前を付ける習慣がある。元智大学学生とのLiveOnを使った交流の様子元智大学学生が来日した際、日台の学生が一緒にプレゼンテーションし合う様子43

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