第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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されるようになるのは目に見えていると、藤田教授は指摘する。「そうした意味でも、オンデマンド化された授業を用意するというのは、近い将来には嫌でもやらざるを得ない状況になるのは間違いないでしょう」。オンデマンドで公開すれば教育以外での活用メリットも 誰でもが見られる状態でオンデマンド化した講義コンテンツは、授業以外にもさまざまな利用法がある。たとえば、卒業生が後から「もう一度あの授業を聴きたい」といって視聴することもあれば、研究会で知り合った相手に自分が教えている内容を紹介するときにも利用しているという。 さらに、大学で担当している授業科目以外にも、自身の研究テーマに関する講義をオンデマンド化して公開している。「世界の各地で講演をしていると、それを聞いた人から、興味深いので何か資料はないかと聞かれることがあります。そんなときに、ここを見て下さいとURLを紹介するようにしています。あるいは、私の本を読んでよく分からない点があると聞いてくる人にも、同様に参考にしてもらっています」。講義動画を作成し科目選択の情報を提供 早稲田大学では、学生が履修授業を選択する際の情報として、授業内容を紹介する「講義動画」を用意することを全学的に目指している。これは、授業そのものの1回分を録画する、あるいは担当教員が授業の概要について10~15分程度解説している動画を録画するという2種類の動画が想定されている。こうした動画を自宅などから自由に視聴できる形で用意することで、学生は手軽にいろいろな授業の中身を具体的に知ることができる。実際に授業を受けてみる前に授業の内容や雰囲気をつかめれば、学生がどの科目を選択するかを決める上で大いに参考になるはずだ。 藤田教授の所属する商学研究科では、2014年度からこれを先行導入する。オンデマンド収録の経験が豊富な藤田教授は、各教員向けの模範動画として15分の概要を解説する動画も作成済みだ。「さまざまな選択肢を用意するという多様性の視点からも、講義動画を作成して学生に提供するのは良い試みだと思います」。 藤田教授は、自身の専門分野でもある「KAIZEN」の観点からも、講義のオンデマンド化など、新しい手法への取り組みの重要性を強調する。「KAIZENとは、ある目的を達成するために、従来のやり方を変えていくことです。従来のやり方をそのまま踏襲していたらそれは衰退につながります。つまり、前進しようと思うのなら、一つでも今までのやり方を変えていくというのが、KAIZENの鉄則です。いつまでも横並びの一線でやっているのではなく、少しでもやり方を変えていこうという前向きな姿勢が必要だと思います。新しいことに取り組むのは確かに面倒ではあるかもしれませんが、一人でも多くの方がやらなくてはと思っていただければいいですね」。公開されている藤田教授のオンデマンドコンテンツiTunes Uに公開されている藤田教授のコンテンツ群は、PCやモバイル端末から無料で視聴ができるようになっている。33

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