第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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うになった。実際、例年よりも学生の発音が上達している手応えを感じているという。 授業中で録音をさせるときには、遠隔教育センターなどの職員2名が毎回技術的なサポートを行った。「私自身はICT関係があまり得意ではないのですが、録音の説明や困ったときのフォローなどをすべてお願いできるので、安心して利用できます」。 現在は、学年末に行う発音テストも、PC教室で録音してCourse N@viで提出という形を取っている。従来は50~60人分の実技テストを実施するには、2~3回分の授業時間を使ってしまっていた。学生は数分間の自分の試験のとき以外は授業に来なくてもいいため、その分授業時間を無駄にしていることが心苦しかったという。その点、この方法なら全員が一斉に取り組める為、試験用には1コマの半分ぐらいを振り当てればすむようになった。 また、研究室に個別に呼び出されて教員の目の前でテストを受けることに緊張してしまう学生もいたが、授業内で何度も体験しているPCを通した録音という方法の方が比較的リラックスして受けられるという学生もいるようだ。採点する側としても、顔が見えない状態だからといって問題となる点はほとんどなく、必要に応じて繰り返し再生しながら、客観的に音声を確認できるメリットもあるという。授業中もCourse N@viを併用し効率的に発音練習を行う 2013年度からは、発音練習がメインとなる秋学期の授業は、毎回PC教室で行うことにしている。「通常教室でやっていたときは、私が一人ひとりの学生のところを回りながら個別に発音させてコメントする間、他の学生には各自練習しているようにと指示をしても、私語をしていることが多く時間を無駄にしていることが気になっていました。今は、各自がCourse N@viからリスニング教材を再生しながらシャドーイングをさせている間に私が回ることで、そういう無駄な時間が少なくなりました。みんながヘッドフォンを付けてシャドーイングをしていると、自分の発音が他の学生には聞こえないという点も、自信のない学生にとっては練習しやすい環境となっているようです」。 各種の実技練習に参加させる代わりに、秋学期は授業自体の出席は取っていない。それでも例年に比べて大幅に出席率が下がっているという傾向は見られないという。「発音を上達させたいと熱心な学生も多く、また期末には発音テストがあるので実技練習の必要性を感じているのだと思います」。ICTを導入することで対面の授業を充実できる これらのICTの活用によって、教場では授業内でしかできないことに特化でき、実技科目として成り立ちつつあるのがうれしいと手応えを感じている折井准教授。「パソコンを通してであっても、一人ひとりの発音を直接聞くことができて、それに対して指導もできるので、人数が多い授業ながら多対一ではなく、一対一の関係ができているような印象を抱いています。対面授業にこだわっていた私ですが、対面の時間を犠牲にすることなく、むしろ充実させるために活用できることが分かって、どんどん活用するようになってきました。こういうものが無料で使える環境にあって、しかも手厚いサポートまで受けられるのは本当にありがたいですね」。 今後は、学生自身が自分の発音を聞いて分析し、改善点を自ら見出していく方向に活用していきたいという。「教わった理論と照らし合わせて自分の発音がどうなのか、自ら気づくということもとても大事なことなので、なんとかそれが実現できればと思っています」。発音の理論説明のオンデマンドコンテンツ。事前に視聴させて教場では補足説明を行うことで、従来よりも効率的に説明ができ、実技指導に大きく時間を割けるようになった。Commonsを用いて、授業で学生が一斉に自身の発音を録音している様子。ヘッドセットを使うことで、これだけ密集した空間で録音させても、発話者自身の発音がはっきりと聴き取れるものができる。録音した音声は、Course N@viのレポートにURLの形で提出させる。URLをクリックすると音声が流れるので、これを聞いた上で学生にフィードバックのコメントをする。17

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