活用事例集2012
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12厳選した機能をプリセットすることにより導入の敷居を低くする 2007年のCourse N@viリリース当初から、その利用価値に注目していたという上沼教授。これを学部全体に広めていこうと、さまざまな試みを行ってきた。「非常勤の先生方を集めて講習会を開いたりもしましたが、興味を持って使いこなす教員がいる一方で、抵抗を感じる先生もいて、なかなか利用率は上がりませんでした」。 通常、教員がCourse N@viを利用するには、最初にさまざまな初期設定を行う必要がある。画面上には自分の担当科目名の一覧が表示されるだけで、2007年リリース当初は登録学生の名簿さえも「講義フォルダ」を設定しないことには利用できなかった。たくさんの機能を必要に応じて自由に設定できる一方で、初めて利用する教員にとっては、よく分からなかったり、そもそも設定の手間が面倒に感じられたりする場合が多い。それがネックとなり、利用に踏み切れないという声もあった。 そこで、この状況を打開するために、社会科学総合学術院では独自に「標準パッケージ」を定義し、全ての授業に事務所で事前に設定することが検討された。標準パッケージとは、「講義フォルダ」「お知らせ」「レビューシート」「出席管理」「成績管理」などのよく使われる基本機能を、あらかじめパッケージとして設定済みにしたものだ。これまで行ってきた講習会などで「一番シンプルな使い方」として紹介してきた機能を、ログインしただけで誰でもすぐに使えるようにするという簡単なアイデアである。もちろん、さらに利用したい機能があれば、自分で自由に追加することもできる。但し、簡単なアイデアといっても、その実現には多くの人の多大な労力と工夫が必要だった。標準パッケージ導入後利用率は全科目の75%に 「Course N@viの存在は知っていても、パソコンの利用に不慣れだったり、忙しくて時間がとれなかったり、非常勤で使用頻度が少なかったりする場合、初期設定を面倒に思うのも無理はありません。そこで、使い始めるまでの手間を軽減することによって、一人でも多くの方に使っていただけるよう配慮しました」。社会科学総合学術院では、2011年度よりCourse N@viの「標準パッケージ」を導入した。「標準パッケージ」とはCourse N@viのよく使う機能をプリセットしておくことで、初めて利用する人への敷居を低くしようというものだ。教務主任としてこの導入に関わった上沼教授に、その狙いと、Course N@vi活用のメリットについて伺った。 標準パッケージの導入にあたって、上沼教授はマニュアルの整備についても積極的に関与した。「まったく初めての人が使うことを想定し、間違いやすいポイント一つひとつを、丁寧に解説しました。システムを運用する担当職員の視点では気づかないようなところでも、実際に私自身が教員の立場から手順をチェックしてみると、分かりにくい箇所が見つかるものです。少しでも気になる点は担当職員と徹底的に話し合って、利用者目線の説明を加えたつもりです」。 その結果、標準パッケージを導入した2011年度の前期終了後のアンケート調査では、前年度後期には全科目の約50%だったCourse N@vi利用率が、約75%へと大きく伸びた。 アンケートで寄せられたすべての意見や要望にコメントをつけ、教授会で報告すると共に、Course N@vi上でも公開し、非常勤の先生方にも見られるようにした。「いただいた意見を参考に、可能な点は改善して、さっそく後期からのパッケージに修正を加えました」。 後期の終了直前には学生にもアンケートを採り、次年度はさらにその結果もフィードバックした新しいバージョンに改訂する予定だ。「こういうシステムの長所は、いくらでも修正を加えて改善していける点にあります。今後も、教職員や学生の意見を取り入れつつ、徐々に機能を増やしたり、逆に絞ったりしながら、さらに使いやすいものにしていきたいと思っています」。動画や音声を使って語学のオリジナル教材を作成 同学部では、来年度から一部語学の教材にもCourse N@viを活用する予定だ。Course N@viなら、テキストだけでなく音声ファイルや動画ファイルもアップロードできる。これを利用して、これまで使用していた市販のCDやDVDに代わる教材として、さまざまなデジタルコンテンツを融合させた学習教材、いわばデジタル教科書をオリジナルで作成するアイデアだ。 「社会科学部の語学担当教員が直接作成するものなので、コンテンツをデジタル配信する際に注意が必要な著作権の問題もクリアできます。学生たちが別途、教材を購入する必要がない点もメリットといえるでしょう。そして、実際に使ってみながら小まめに直ぐ改善していけるという点が、紙の教科書とは違う最大のアドバンテージです」。 さらに、学部全体として標準的な教材を使用することで、成績評上沼正明社会科学総合学術院教授すぐ使える「標準パッケージ」の導入で学部全体のCourse N@vi利用率が向上

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