事例集Vol.2
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Course N@viデビューへの一言!することにしているが、実際にはその必要はほとんどなく、中国の学生とも意思の疎通ができているようだと言う。 一般的に、BBSは多くの人が活発に参加すると大いに盛り上がるが、逆に書き込みが少ないと意味のないものになってしまいがちだ。この授業では、書き込みの習慣を促す方策として、初回のみ一斉に1人1回の書き込みをすることを義務としている。その後は各自がマイペースで参加してよいこととしているが、学生たちは、次第に自ら進んで、積極的に参加するようになると言う。 最初に書き込みしやすい状況を作ること、そしてたくさん書き込むほど加点するといった教員側の工夫が功を奏し、かなり活発な意見交換が行われているそうだ。一部のメンバーからだけ見える設定も必要 一方で、BBSでは不用意なことを書いてしまうと議論があらぬ方向に白熱し、思わぬトラブルに結びつくこともある。そこで、ニューエル教授は、BBSの利用時にタブーとなることを、学生たちにあらかじめ警告するようにしている。「特に、中国の学生とのやりとりにおいては、政治や歴史などの問題については不要な言及を避ける配慮も必要です。また、BBSに書かれた内容はすべて教員が見る権限があることも、最初にはっきりと伝えておきます」。このようにあらかじめ注意を促しておけば、実際には大きな問題が起きることはないと言う。 BBSに限らず、そこに書かれた内容を「誰が目にするのか」というのは、常に意識しておくことが重要だ。その点において、ニューエル教授は過去に苦い経験があると言う。「以前、中国側から見ると多少敏感な問題に関する資料をCourse N@viにアップロードしてしまったことがありました」。中国側には見えていないだろうとの誤認識によるものだったが、結果的に、それが先方の目にも触れることになってしまった。「幸い大きな問題にはなりませんでしたが、冷や汗をかきました」。 このようなトラブルを防ぐために、Course N@viでは、履修学生を複数のグループに分け、一部のメンバーにだけ見えるような状態で利用することもできる。また、正規授業とは別の科目を設定することも可能である。「英語Ⅲ」では、早稲田大学の学生交流授業を効果的に進めるには、BBSはなくてはならないものです。コミュニケーションを深めるにも、格好のツールだと思います。専用の非正規科目を別途設置し、早稲田大学の学生のみに情報交換に活用していると言う。オンラインツールが学生の自発的学習に大きな役割 テレビ会議システムによるプレゼンテーションは6週間続く。すべての発表が終了した後、そこまでの活動で得た知識を発展させ、今度は早稲田のメンバーだけの間で再びプレゼンテーションを行い、さらにはレポートも提出することになっている。 この最終的なプレゼンテーションやレポートには、自分自身で各種の資料から集めた知識だけではなく、中国の学生との交流を通して直接得た情報を加えることで、ボーナス点を加点することとしている。「テレビ会議やチャットの内容は、原則そのときしか見られませんが、BBSでの書き込みはすべてログという形で残ります。キーワードサーチもできるので、レポートの作成時にも多いに役に立っています」。 学生たちはこの授業を通して、必要な情報や知識を得るために、生きた英語を使うという体験をする。このことは、授業を終えた学生たちにとって、大きな自信になるという。 この授業では、教員が学生に一方的に教えるという形ではなく、学生の側が主体的に学ぶということを重要視している。教員は、あくまでもファシリテイター、オーガナイザーであり、学生たち自身が学んでいくプロセスをモニターしサポートする存在だ。学生たちは、わからないことは自分で調べる、他の学生に尋ねるなどの努力によって解決することが求められる。 そうした状況においては、離れた場所にいる相手との情報交換手段をいかにうまく使いこなすかが重要な意味を持つ。テレビ会議やチャット、e-Mail、そしてCourse N@viのBBSという各種の同期・非同期のオンラインツールをうまく併用することで、その効果を最大限に発揮させている例と言えるだろう。この授業でのBBSは両校の学生たちにも人気があり、書き込み数も多く、大いに盛り上がった。13

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