e-TeachingAward Good Practice集
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Course N@viはお知らせ機能を使う程度だったという田中先生だが、職員からの提案を受け入れて、2010年度から出席管理と小テストの導入を試みた。その結果、大人数の授業ならではの煩雑な手間を解消し、効率的に活用することができたという。今回は、職員との協働でCourse N@viを導入し、授業運営の効率化に成功したこの事例を紹介する。職員の提案で出席管理と小テストを導入 大人数の授業で効率的に運用できた300人分の出席管理を効率的に行いたい 田中先生は、それまではそもそもCourse N@viでどんなことができるのかもよく知らなかったという。「メーリングリスト的な使い方や、採点簿、出席簿の機能があるらしいという程度の認識しかありませんでした」。 2008年の着任直後から個人のブログを開設し、最近ではTwitterも活用している。ITツールの利用自体には何の抵抗もなかったが、「今さら新しいものを導入するのが面倒」という思いもあり、あえてCourse N@viのさまざまな機能を利用してみようとは思わなかったという。 2010年度からCourse N@viを積極的に活用し始めたきっかけは、授業運営支援研修の政治経済学部チームから提案を受けたことだ。この研修は、早稲田大学の新入職員がチームを作り、Course N@viなどを利用して教職員との連携を図りながら、教職協働体験を積むことを目的としたプログラムだ。このプログラムに基づいて前年度に実施された教員向けCourse N@viの新機能説明および提案の中で、「出席管理」の機能に関心を持ち、導入してみることにした。 「私の担当している授業のうち、『ミクロ経済学α』というクラスは、3年生以上の参加が多い補講的なクラスです。必修科目でありながら合格率が低いために、テストの点数だけでなく、出席を考慮して加点の目安とする方法を検討していました」。 しかし、この授業は約300人と履修学生の数が多い。これだけの人数分の出席カードを回収して管理するのは、かなりの手間になる。その煩雑さを解消してくれるものとして、Course N@viの出席管理に2010年度より追加された新機能に注目したのだ。学生本人が登録をし自動で集計される Course N@viの出席管理機能では、通常の出席カードを回収して教員がCourse N@viにその情報を登録する方法に加え、学生一人ひとりに自分で登録を行わせる方法も選べるようになった。 これを利用するためには、あらかじめCourse N@viの出席管理機能画面から1枚ずつ異なる「出席コード」が入力された出席カードを印刷しておき、授業時に学生に配る。学生は、授業終了後に自らCourse N@viにログインして、この出席コードの番号を入力することで、出席登録が完了するというものだ。 この方法を使うと、教員側はあらかじめカード印刷の作業をして配るだけで済む。「この授業ではさまざまな学科・学年の学生が混在しているため、300人分もの出席カードを手動で学籍番号順に並べ替えるのはかなり大変です。その点、Course N@viに自動登録されたデータは、クリックだけで並べ替えも簡単にできるので、とても助かっています」。 今回は全授業のうち2回だけ、抜き打ちでこの方法を使って出席をとった。「真面目にやっているのにテストの点数があまりとれなかった学生に対して、出席点を加点するという形で利用しました。根拠のある救済措置を効率的に行えたので、満足しています。今後は2週に1回など、もう少し頻繁に実施していきたいと考えています」。学生の登録忘れ対策にはQRコードの活用も有効 印刷される出席コードは、出席カード1枚ずつに異なる番号が生成されるため、複数の学生が同じコードで登録することはできない。つまり、教場では学生1人に対し1枚のカードだけを配るように徹底することで、代理登録などの不正を防ぐことができる。 学生にとっては、従来の出席カードならその場で書いて提出すれば完結するが、このシステムでは後からCourse N@viにログインして自分で入力をしなくてはいけないため、忘れてしまうケースもある。「期限内に登録しそびれたと言ってきた学生もいましたが、それはNGとして厳密に対処しました」。 こうしたトラブルの回避策としては、出席カードにCourse N@viにアクセスするためのQRコードを印字することも可能だ。「これを利用すれば携帯からも出席登録ができるようなので、学生は授業終了後その場で登録することができます。今回は知らなかったのですが、登録し忘れのトラブルを減らすためにも、今後はぜひ利用してみたいですね」。自由参加の小テストで学生にチャンスを与える もう一つ、田中先生が今回導入してみて気に入っているのが、38田中久稔政治経済学術院准教授

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