e-TeachingAward Good Practice集
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で使用したパワーポイント資料などを組み合わせた動画コンテンツを作成できる。「中国語の高度な聞き取り能力を必要とする授業なので、後から繰り返し聞いて復習したいという学生がたくさんいます。このCommonsを使うと、とても簡単に録画ができ、自分で即時にアップロードでき、とても助かっています」。授業アンケートにもチャットシステムを活用 「中国の社会」には中国語圏から来ている留学生も多数参加しているため、中国語が母語の学生と、そうではない学生を授業時間中にフォローする目的で、Course N@viのチャット機能を使用することがある。分からない言葉について質問が出てくれば、教員や分かる学生が答えるほか、講義内容に関連する情報交換や授業への感想などが書き込まれることもある。 早稲田には現在3000人以上の留学生が在学しているが、その約2/3は中国語圏の学生だ。しかし、日本人学生と彼らとの会話は、通常英語か日本語が使われることが多く、中国語での接触は少ない。そこで、キャンパスにあふれている中国語リソースを日本人学生の中国語学習に活かすことも、この授業の目的のひとつとなっている。 「特に中国人留学生はとてもストレートな発言をするので刺激的です。日本人の学生は内気で語学能力に自信がないため、あまり発言しませんが、留学生の発言を聴き、チャットでのスレッド往還を見ているだけでも周辺的学習効果はあります。次第にこれを十全の参加に牽引するのが教師の役目です」。チャットに書き込まれた内容は、受講者と講師自身にフィードバックし、講義内容の確認と授業改善に生かされている。 チャット機能は、授業アンケートにも取り入れられている。半期の授業が終わる頃に項目ごとに質問を投げかけ、学生がこれに感想を投稿する形式だ。「チャットを使うことで、自分以外の発言も見えるところがポイントです。他人の意見を知ると自分の考えを深めることもできて、とても有益な意見が出てきます」。ここで出てきた質問は、その場で説明できるものは教員が返信し、学生との合意形成が双方向で即時に行える。砂岡教授自身が見返すことで授業内容の向上にも役立てているという。 目の前にいる人間同士がPCに向かってチャットで会話をするというのは、一見矛盾のようだが、あえて口頭ではなくチャットというシステムを使うことで、教員一対学生多数という力関係の元、対面で言いにくいことが言えたり、多数の異なる意見を同時に一覧できる教育効果があるという。学生の反応を知ることで教員自身の意欲も向上する 砂岡教授にとって、TV会議やチャットなどを活用した授業の最大の魅力は、「楽しい」ことだと語る。以前は、教員の知識を学生に一方的に与えることに虚しさを感じることもあったが、ICTを活用した新しい授業の形がその意識を一変させた。「自分のやっていることを学生がどう受け取っているのか、何を考えているのかということが、よく分かるようになりました」。その結果、学生が消化できていないところ、教員の側の不足しているところを把握でき、次年度の授業にも活かせるという。 「語学学習では、教員側と学生側、そして学生同士が修得目標に対し信念を持って向かわないとうまくいきません。TV会議やチャットなどを使うことで、その点がうまくいくようになりました。おかげで私自身が毎回とても楽しいと感じるようになり、学生のモチベーションアップにもつながっています。」29「アジア学生ネットワーク」交流授業の様子CCDL授業部門

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