e-TeachingAward Good Practice集
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資料を読み込み「Record」ボタンで録画開始。通常のプレゼンのようにスライドを送りながらカメラに向かって話すだけで手軽にコンテンツが制作できる。る。「自分の顔が映る上に、自分の言葉で話さなくてはならないので、より中身の濃いレポートになると期待しています」。自分の話し方を客観視し、人前で話すスキルがアップ 学生自身は、最初はビデオに自分の顔が映ることを恥ずかしがる傾向があるようだが、次第に楽しんで参加するようになるケースも多いという。 通常、自分がしゃべっているところを見る機会というのは、あまりないものだ。その点、自分でプレゼン用コンテンツを作って見れば、嫌でも自分自身を客観的に見ることにもなる。「プレゼンや面接など、人前で話す練習にもなりますから、卒業後に社会に出てからも大いに役立つはずです」。 プレゼンの様子を自分で見る意義を感じていた森田准教授は、以前、教場で発表している様子をビデオ撮影してみたことがあるという。しかし、教場での撮影はスクリーンと発表者の顔、両方の明るさを合わせることがむずかしい。しかも、ビデオテープは管理が煩雑で、結局ほとんど活用できずに終わってしまったそうだ。「その点、Xpertを使えば顔も資料もきれいに見えるし、デジタルコンテンツはその後の管理もとても楽で、手軽に視聴できます」。 プレゼンを自分で録画して作成する場合、人前ではうまく話せない学生でも、緊張することなく自分のペースで発表できる。そうした経験を重ねることで、だんだんと人前で話すことにも慣れてくるだろう。 一方で、外向的な学生の場合は、目の前に聞いてくれる人の姿が見えた方が、モチベーションが上がるということもある。ディスカッションについても、BBSで行うか対面で行うか、どちらがやりやすいかは個人差がある。「どちらかを選べるようにするのもありだと思います。授業の進め方としては、対面とオンデマンドとをブレンドした形というのが一番効果的なのかもしれません」。オンデマンド授業も教員自身でいつでも簡単に収録できる ところで、この「Xpert」は、教員がオンデマンド配信用の授業コンテンツを作成するという用途にも利用できる。従来は教員がスタジオまで出向いて収録を行う必要があったが、スタジオの空いている時間と自分のスケジュールとをすりあわせる必要もあり、融通が利かない場合も少なからずある。その点、「Xpert」を使えば、教員のPCにこれをインストールすることで、自宅や研究室などで、自分の都合のいい時間にいつでも収録することが可能になる。スタッフの手を借りないため、気兼ねなく気楽に何度でも撮り直しできるというメリットもある。 「ただ、自分一人でカメラに向かって話していると、なんだか暗い雰囲気になってしまうこともありますし、スタジオでの収録にはそれなりの良さもあると思います。いずれにしろ、教員個人の好みやそのときの都合に合わせて、スタジオで撮るか、一人で作るか、選択肢が広がるのはありがたいことだと思います」。学生の授業姿勢が、主体的になった 森田准教授は、今までにも他のツールを使って同じように学生に動画コンテンツを作らせてみた経験がある。「Xpertはライセンスフリーなので、各自のPCにインストールさせることができる点が画期的です。大学に来なくても、自宅などで自分の都合のいいときに、時間の制約なく作れるというのは、大きな利点だと思います」。 「Xpert」を導入したもう一つの成果として挙げるのは、動画コンテンツの作成という作業を通して、学生たちの授業への向き合い方に変化が見られたことだ。「自分で主体的にコンテンツを作成して、それをお互いに評価し合うことで、授業に参加することへの積極性が増してきたように感じています」。 学習意欲の高い人が比較的多い大学院と比べて、学部の学生は、最初はコンテンツ制作に関しては消極的な場合が多いという。しかし、前述のような、人前で話すことのスキルや授業への積極的な姿勢など、学部生にこそ、動画コンテンツ作成を行わせることの効果が大きいというのが、森田准教授が実際に導入してみての感想だ。 「Xpert」を使えば、こういった新しい手法を、誰でも気軽に授業に取り入れることができる。授業の可能性を広げてくれるツールとして注目してみてはどうだろうか。25オンデマンド授業部門

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