事例集Vol.3
9/18

10Course N@viがあれば海外からも授業ができる! 「私が一番便利だと実感したのは、在外研究で1年間フィンランドに滞在していたときに、日本にいるのと同じように通学制の学生に対して授業を行えたことです」。 そのとき利用したのは、現地で自分のPCに向かって講義を録画し、そのファイルを大学の担当者に送ってサーバーにアップロードしてもらうという方法だ。学生たちはこれを視聴し、レポートなどを提出した。いずれもCourse N@viを利用して行われるため、インターネットにアクセスできる環境さえあれば、海外からでも授業ができるというわけである。 西村教授の場合、このような形式で行う授業はeスクールで経験があり、その手法を通学制の卒業研究指導や大学院の演習にも取り入れたということになる。「おかげで、学部の4年生や大学院の2年生など前年度私のゼミにいた学生たちを途中で放り出すことなく、継続して指導することができました」。 気になる教育効果については、学生の理解度や満足度の面から対面授業と比較しても遜色ないという実感を得ているという。 「このケースは通学制の授業において通年でオンデマンドを導入した特別なケースですが、この方法を利用すれば、海外出張などがあっても教員は休講する必要がないということになりますね」。 一方、何らかの理由で学生が授業を欠席せざるを得ないケースでもCourse N@viは効果を発揮するという。たとえば、就職活動や教育実習などで授業を欠席する場合であるが、昨今の就職活動早期化や就職難の状況を鑑みると配慮せざるを得ないケースも増えている そこで西村教授は、3年生の演習授業については、前回授業で行った内容をCourse N@viにアップロードしておくことで、欠席した学生が補習できるようにした。また、出席した学生たちにも自分たちの作業報告をアップロードさせた。これにより、欠席した学生が授業に遅れずにすむだけでなく、出席した学生も欠席した学生も、他の学生のやっている内容を情報共有できるという効果があった。教育情報科学を専門とする西村教授は、人間科学部通信教育課程(eスクール)の立ち上げに中心的に関わった経験を持つ。現在は、通学制の授業も含めてほぼ全ての担当科目でCourse N@viを利用しているという。各機能に精通している立場から、おすすめの利用法を教えていただいた。BBSの活用で、学生同士の意見交換が促進される 別の授業ではeスクール用に収録した講義動画をオンデマンドで配信し、これを視聴した学生たちにBBSへ意見を書き込ませるという方法をとった。書き込みは必須ではないが、評価の対象としたことにより履修学生のほぼ全員が毎回1回は書き込みを行った。「この授業は1年から4年まで幅広い学生が履修していますが、4年生ぐらいになるとさすがに深い意見を書いてきます。それを読むことで下の学年の学生たちも大いに勉強になったはずです」。 教場で直接意見交換をさせようとしても、時間の制約があることに加え、一部の活発な学生だけに発言が偏ってしまいがちだ。その点BBSは非同期型のコミュニケーションツールであるため、全ての学生が自分なりに時間をかけて考えた意見を表明することができる。「学生同士が自由に意見交換できるという点において、BBSというシステムは非常に有用だと感じています」。教員からのコメントは、動画で語りかける形式を採用 この授業で西村教授は、BBSへの投稿があるたびに自身のメールアドレスに通知メールが届くよう設定している。「締め切り前には一度に大量の書き込みがあって読むのも大変ですが、これを読むと学生たちの理解度が把握できるので、私としても大変参考になります」。 BBSの書き込みに一通り目を通した後は、それに対するコメントをまとめてカメラに向かって語ったものを動画として収録し、再びCourse N@viで配信するという形をとっている。「私自身の負担を軽減するという意味もありますが、一番の理由は、画面上の文字で答えるよりも顔を出して語りかけた方が、説得力が増すと考えるからです」。 さらに、動画収録時の工夫として、「○○さんはこういう意見を書いていましたが、それについて私はこう考えます」というように、必ず相手の学生の名前を入れて呼びかけるようにしているという。「名前を入れることによって、自分に語りかけているのだということを、学生たち一人ひとりが身近に感じてくれると思うのです」。西村昭治人間科学学術院教授意見交換ツールとしてBBSを活用 レポート機能はコピペ対策にも有効

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です