第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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 一方、オンデマンド講義を視聴した後に記入するレクチャーノートは、提出させていないという。レクチャーノートは、Wordで作成してあり、講義のポイントについて英語でいくつか質問が書かれている。学生は、答えを英語で記入するが、「要点をまとめて欲しいのに、英語で答えるからかリスニングの問題と勘違いしている学生がいたり、またA4用紙3枚ほどあるので、提出を義務付けるとかなり負担が大きかったりということで、以前は提出させていましたが今はやめています。次の授業のときに、レクチャーノートにまとめたポイントが何だったかという確認を行うにとどめています」。学生の実情に合わせて、オンデマンド講義の利用法を工夫 ここまで、現在のオンデマンド講義の活用方法を見てきたが、前述のとおり、以前は今とは違うやり方でオンデマンド講義を利用していたと上田講師は説明する。 「最初は、予習としてオンデマンド講義を視聴してもらい、授業では講義の解説を行うという、今とは逆の方法を取っていました。授業がオンデマンド講義の補足という形ですね。あるときまでは、それで成立していたんですが、4~5年前からだんだん様子が変わってきました」 レクチャーノートの回答やレポートの記述を見ていて、学生の理解力が落ちてきていると感じた上田講師は、これまでと同じ方法ではダメだと考えて試行錯誤したという。一時期は、授業で解説をし、その場ですぐオンデマンド講義を見せるという方法も取ったが、あまりよい結果をもたらさなかったため、最終的には、もともとの方法を逆転させて、授業でまず要点を解説してそれぞれが後で講義を見て理解を深めるという、現在のやり方に落ち着いた。 「オンデマンド講義は全編英語なので、英語が難しいということも考えられますし、英語の問題ではなく全体的な学力が落ちている可能性もあります。そこははっきりしていないんですが、とにかく4年ほど前から理解力が落ちているように感じます」。ただし、学生のために補足しておくと、すべての学生の理解力が落ちているわけではないとのこと。「応用言語力のクラスには、毎年3~4人程度留学する学生がいますし、大学院に進む学生もいます。留学や進学を考える層を中心に、積極的に英語の講義を聞いて学んでいこうという姿勢を持つ学生はもちろんいますよ」。 この事例のように、一度準備したオンデマンド講義のコンテンツをすぐに変更することが難しい場合もあるだろう。しかし、活用方法を工夫すれば、継続して使用することは十分可能と言えそうだ。 「毎年、授業の最初で学生の様子を見て、あまりわかってないようだと思えば、用語リスト等、理解を助けるための資料を増やしたり、逆にもっと詳しく知りたいという学生がいれば、関連する論文をCourse N@viにアップしたりしています。今後も、学生の状況に合わせて、サポートを工夫しつつ、オンデマンド講義を活用していくつもりです」。オンデマンド講義コンテンツの一覧画面。各講義動画に対して補足資料が用意されている。講義のポイントを確認するためのレクチャーノート。一つの講義に3-4枚の分量がある。09

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