第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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ス全体を4~5つのグループに分けて行うが、ここでは、チャットによる交流時とは違うメンバーになるよう、意識してグループを組み替えている。PAが参加する3回の授業でも、毎回違うPAと話ができるように設定するなど、できるだけ多くの人と接する配慮をしている。「学生たちは、放っておくとどうしても同じ学部、学年、同性同士で固まってしまいがちです。この授業はせっかくいろいろな学部や学年の学生が集まっているのだから、できるだけ多くの人と話し合ってもらいたいと考えています」。教員は黒子に徹し学生自身が体験して学ぶ 学生に主体性に取り組ませるというこの授業の進め方は、須永講師が実際に交流授業を体験した結果たどり着いた方法だった。「こういうタイプの授業は初めてだったこともあり、最初は私が準備したものを学生に伝えようという気持ちが強くて、黒板を使って説明し、それを学生にノートを取らせるというスタイルでした」。 しかし、この授業では自分が話すのではなく、もっと学生に調べさせ、自ら話をさせることが重要だと気づいた。そこで、教員自身は質問を投げかけるだけにとどめ、学生からの発話を増やす方向にシフトすることにした。「私から何かを教え込むのではなく、学生自身が体験していろいろ学んでほしい。そのためのフォローはするけれども私は黒子に徹するということを、最初のガイダンスではっきりと学生に告げています」。 今では授業時間のほとんどをスピーキングやリスニングに費やしており、読み書きしている時間はほとんどない。最初は物怖じしてなかなか話せなかった学生も、授業の中でディスカッションや発言を大量に経験することでだんだん慣れてきて、最後のプレゼンの頃には大きな成長を見せるのだという。耳と口をフル活用してライブ感を体験してほしい この授業では、ある程度英語力に自信があり、もっと伸ばしたいというモチベーションの高い学生が履修する傾向がある。さまざまな学部、学年の学生が集まっている中で、ときには1年生の学生がリーダーシップを取ることもあるという。そんな意識の高い仲間と共に学ぶことで、互いに刺激を受けてがんばろうと思う学生も多い。 加えて、相手校の学生たちが海外留学の経験もないのに上手な英語を話すこと、あるいは熱心に勉強していることを目の当たりにして触発されることもある。特に中国とは近年外交関係が微妙になっているが、リアルな中国の学生と触れあってみると自分の偏見や誤解に気づくことも多い。「直接自分が体験するからこそ、本当の意味での友好関係が生まれるのだと思います。それは、英語力以上の収穫かもしれません」。 この授業の一番の特長は、体験型であることだ。大学生にもなれば、本などから学べるもの、ネットで調べられるようなことは授業以前に行うべきだと、須永講師は考えている。「授業の時間内には、ライブ感の感じられる体験を通して、自分が想定していなかった質問や反応が返ってきたときにどう対応するのかを学んでほしい。そのためには慣れが必要なので、この授業では耳と口をフル活用してその体験を積んでいってほしいと思っています」。交流の内容をまとめて投稿するBBSには日中両方の学生が感想を書き込む27

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