第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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言い間違えても気にしない短いものから慣れていく オンデマンドの収録は、以前はスタジオを利用していたが、現在は自分の研究室において一人で行っている。「最近はPCの性能もよくなってきたので、研究室で撮れるようになってかなり楽になりました。わざわざスタジオに行くとなると多少面倒ですし、日時を予約する必要もあります。自分だけなら準備できればいつでも好きなときにできるし、カメラマンなど他人がいないと気楽にできるのもいいですね。」。 動画を収録するときのコツは、言い間違えを気にしないことだという。「教室で話をしているときだって言い間違えはします。収録しているからと固く考えずに笑って言い直し、そのまま続ければいいのです」。 今ではそう語る向後教授も、当初はテレビの教育番組のイメージがあり、言い間違いはしてはいけないと思い込んでいたという。しかし、最近よく見かけるユーチューブなどで国内外の教員が公開している動画などでは、気楽な感じで話しかけるスタイルのものが多く、その方が視聴する側の反応もいいということに気がついた。「これは授業なのだから、テレビ番組の水準を目指す必要はないのです。そのことに思い至り自分でハードルを下げることができてから、オンデマンドを作るのが本当に楽になりました」。 カメラを前に緊張してしまいがちな出だしをスムーズに始めるためには、冒頭の決まり文句を用意しておくのもおすすめだという。「毎回違う気の利いた言葉で始めようなどと考えるとうまくいきません。私の場合は、『みなさん、こんにちは』なんですが、そういう出だしのセリフを決めてしまうだけでも、楽に入っていけるようになります。あとは習うより慣れろで、何度も数をこなすことですね」。 収録に慣れるための一案としては、学生に何か伝えたいことがあるときに5分ぐらいで話して録画し、Course N@viに載せておくという使い方もある。「そのぐらいなら気楽にできると思うので、講義にこだわらずに気軽にいろいろ使ってみてはどうでしょうか」。学生を直接見て得た収穫を授業改善につなげていく 一度収録したオンデマンドコンテンツは約3年に1回撮り直しをしている。「教員としては毎年同じ話を繰り返すのは飽きてくる部分もあるので、3年に1回ぐらいで十分かもしれません。この仕組みは、仕掛けさえ作ってしまえば過去のコンテンツを流用できるので、教員の負担は軽減されます。その分、教場で学生たちをじっくり見ることにエネルギーを傾けることができ、彼らの理解度を把握し、もっとこんな説明をするといいのではないかという視点も生まれてきます。それが3年後にまた新しいコンテンツを作り直すときに生かされて、よりよいものへと向上させていけるのです」。 向後教授は、この仕組みを使い出してから授業が楽しくなったという。「単にレクチャーだけをしている授業は、将来的には廃れてくると思っています。主体的に参加できる仕組みを作ると学生の姿勢はまったく違ってきます。そんなアクティブラーニングの時代に向かっているのではないでしょうか。」10年以上のコンテンツ収録実績を持つ向後教授。最近は研究室で収録を行う。1コンテンツは学生の集中力を考慮し15分程度に収める。反転授業は教場実習での学生コントロールが鍵となる。大人数授業でも小グループ編成を偏りなく行い効果的に活動させるため大福帳を活用。出席管理や授業の感想もフィードバック。教場実習では、学生たちがグループワークをしている間、教員は教室内を回り活動を眺めつつ、必要に応じてアドバイスを行う。小グループであることからも学生の事前予習率は非常に高い。21

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